平岡滴宝著「四柱推命の秘則 新訳滴天髄 歳運論」を読む。№1

   < 歳運論 >                            

 休咎(きゅうきゅう)は運よりかかわりて、尤(もっと)も歳よりかかわる。   

 衝戦はそのいずれかが降(くだ)るかを見て、和好はそのいずれが切なるを見る。   

                ( 訳 )                                

  命式上の効果は、大運によって決まりますが、確たる良し悪しは

年運と最も関係があるものです

 運の干が命式を尅したり、運の支が命式の地支を冲したりする時は、

命式上の喜や忌の干の強さに変動がありますから、よくはかり直して

見なければなりません。運の干と命式の干との合なども同様です。

   

       ( 追補 )                            

 「大運説」 大運の見方は十年説と上下五年説に分れます。

錦綉集での素庵氏は上下五年説ですが、輯要では運管十年と書いておられ、

任氏又蓋頭截支を論ぜずとし十年を説いておられます。

耀文氏等は上下五年説を採用され、その方が適確だとのべておられます。      

三命通会中の壺中子等や、神峯氏も五年説で大運を見ておられ、こ

の説は案外古くから採用されていることになります。

結局は楽吾氏も上下五年説です。

 運の興敗は干を重視し、地支の変化を見て喜忌を言う。

伯温氏は文書が非常に象徴的で、例えば大運と年運の関係や、

閑神同志が出会った場合、禍福的な解釈をどのように見ておられたのか、

その点もう少し説明がほしいところです。           

 滴天髄は他の章で清濁等色々あげてありますが、例えば災病、

具体的にどう見れば良いのかは、わずかしかのべられておりません。 

 この天干推命論は表面に現れる成敗論が主であり、

地支での分野が今一つもの足りないものを感じます。                地位が高く安定した収入を得ておられる人でも、病気がちで元気なく 

不本意な生活をされている方がおられるのが現実です

これらの見方が無いとは言いませんが、それは命式上運が主であって、

その中の質的な具体性となるともっと論説が必要と言えそうです。        

 現在では両説共に、定論されていないと言わざるを得ません。

 「年運との関連」耀文氏の説は命式と大運を先、

その後で年運と命式を関連させた見方の様に思いますが、

任氏や素庵氏は、大運と年運を先に見て命式との関連を説いて

おられる様に思いました。

 命式は人間そのものであり、運はその推移を現すものですから、

わずかに四柱八字ではありますが、

必ずその中にすべてが含まれていると信じています。

 禍福災病を含め日犯歳君を考慮しながら、尚勉強してゆくつもりですが、

現在私の論としては、その人の運の盛衰は大運で見、その歳に起る禍福災病は

大運考慮の上での年運重視でと、ごく当たり前の考え方に落ちついています。

子平学 四柱推命 運命学

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      < 和珞の余談 >                         

 歳運論と言っても、年運だけの事ではなく、

大運と年運(歳運)の関係についての論です。                   

 「命式の効果は、大運によって決まる」命式の喜忌が決まれば、

後は大運での干や地支との関係で運の喜忌が決まっていきますが、

十年運か五年運の見方で判断は変ります。現在での見方は天干運五年、

地支運五年の見方になっていますが、

古くの十年と言う考え方は興味深い話でもあります。

 大運とは、五年をぶつ切りにしたものではなく、前運は次の運へと

引き継がれ、次の運へと繋がった人生の流れです。

又「引従相承」の様に、これから訪れる先の運を

引き込んだり、過去の運を引きずったりする命式があり、

運の境目に線を引いた様なものでもありません。結局大きな運の流れを見て、

五年運を次に前後の運を見た上で、

長引くか早い収束なのか等の判断になるのではないでしょうか。         

 

 滴宝先生は、特に大運の流れを重視していました。

例えば25歳頃まで忌運 以降喜運の人はたとえ思春期が忌運で

酷い状況にあっても苦学や修行をして、その時期に基盤を作り

「叩き上げ」などと言われる人になる可能性。        

40代まで喜運続きで以降が忌運の人は、

思いは半ばで間違えば夭命の可能性。    

10歳前後から65歳前後喜運の人は大成功の可能性。           

その他、懐才不遇、大器晩成、晩年は不満の人生、

苦労の多いタイプなど大運の流れを

見る事で、注意深く見なければならない時期は何時なのか目安がつきます。     

60歳までは忌運続きその後は喜運となる様な人、

忌運の最後運の変り目の時期には特に要注意で、

最後の5年ないし10年の忌運を見れば大きな変動時期だったり

命式の喜の干との関係が悪かったりと、そうした人の中には早い退職は、

後の喜運に却って良い影響となる事も、40代の転換期もよくある話。

こうした可能性を念頭におけば、推命への糸口になるかもしれません。

         

 地位や経済的に恵まれても、健康に恵まれない人がいるように、

吉凶や禍福が人生には混ざりあっているのが通常です。

それを見極める研究に滴宝先生は余念がありません

でしたし、私達門下生には熱心に教えてくれましたから、先生の研究を生かした

推命に皆努力をしています。

 

加えて「確たる良し悪しは年運と最も関係があるものです」と

 こうした大運の見方の上に、歳運(年運)が係わって、

本当の運の良し悪しが決まると言っています。

大運の流れとして90年以上の大運全てに年運を考える事は大変ですが、

ポイントは命式によって方法があり、又多くの命式には大運と年運を重ねて

見る必要の時期があります。

 次回「新訳 滴天髄は」そうした命式とポイントの判断を

幾つか紹介したいと思います。 

 

( 滴天髄の訳本や註釈本で、新訳滴天髄の参考文献の一部 )

清代の初め  陳素庵氏  「嫡天隋輯要」(註釈本)

その後    任鉄焦氏  「滴天髄徴義」(訳本)

近世     徐樂吾氏  滴天髄徴義を更に①註釈や②補註を書物に

近世     袁樹珊氏  「專闡微」滴天髄徴義を更に註釈

 

参考文献  平岡滴宝著 「新訳・滴天髄」 「神峰干支体象詩」

      「子平学・四柱推命法深書」 「秘本 子平廣論」 

      改訂版「あなたの運命のすべて」

 

( 子峰院 関都佺人・和珞 2020/02/08 )

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