( 子平学 四柱推命 運命学 )
滴天髄は明の時代、劉伯温氏が編纂され、その後多くの人達により、
註釈や訳本が世に送り出される事になった本です。
天干論 ( 辛 )
辛金は軟弱、温潤しかして清く、土の重なるを恐れ、
水のあふれるを楽しみ、社稷(しゃしょく)よく助け、生霊よく救い、
熱は即ち母を喜び、寒即ち丁を喜ぶ。
( 訳 )
辛金は庚の様に硬くはなく柔軟です。冬生まれでなく、丑や申の根を
持っていて、潤んでいる様な状態は壬をもつ命式と共に最も美しいものです。
しかし土が多すぎますと埋金(これは庚にも言えます。)と言って
埋もれたままになりやすく、良さを発揮され難くなりますが、
壬水が強くても、庚の様な沈金となる率は少ないのです。
特にレアメタル現象となる時は楽しみです。壬水が強い時、
戊がありますと壬水を制しながら土も潤い辛は生じられますし、
戊が強い時には、辛は戊を洩らして調節します。
そして丙辛の干合は甲木の枯を助けたりして、総合に良い関係が
生まれるものです。夏生まれの人は、辛は弱くなりがちですから
戊己の印星が良い結果となる様ですし、
冬生まれの人は、丁によるほのかな暖を期待できます。
( 追補 )
レアメタルとは、地球上最も産出量の少ない貴重な金属を言います。
簡単な例として、日干辛(1干0支)の官(丙)つき、従傷(壬)格の様なものを
指します。又冬生まれの辛金は気質がクールですから、暖(丙か丁)が
必要と昔から言われています。又レアメタルは己土を恐れません。
辛金は銀か金かがポイントでしょう。
丙戊辛の関係は、火尅金に対する通関神での好配合を意味します。
ちなみ社稷とは土地の神様を指しますから戊己の土を意味し、
生霊とは水の神を意味し、命式上では辛を中心とした壬を指します。
< 和珞の解説 >
〇「レアメタルは己土を恐れません」と書いていますが、
己土を恐がらないのは レアメタルとなる辛だけです。
レアメタルとして1例記されていますが、その見極め方とても
難しいことです。普通の辛は基本、己土で汚される事を非常に
なくなる運が巡ってきます。(見極めるべき行運)
〇上記では、冬生まれでない、申や丑を地支に持つ辛は、
潤んで美しいとされていますが、辛は申はともかく丑の根を嫌います。
何故かと言えば、丑の蔵干は辛・己・癸、冬生まれでない丑の中の
己土は基本凍土ではなく、粘り気のある粘土の様なもの
命式に己の透干あれば還流で己土はこびりついた状態
たとえ壬の透干があっても濁壬で辛を洗う様なものだからです。
まして癸(辛のくすみ、そして湿金関係は汚れの付着を招く)の透干では
何の役にも立ちません。行運でも同じ事が言え辛の透干あれば、
丑の地支は命式には無い方が無難な命式になります(辛と丑の関係の悪さ)。
又 冬生まれの丑では、己土は凍土 癸は霜柱 辛は凍土に封じ込められ
夫々の良さが発揮出来ない様な状態となります。
< 辛についての余談 >
※これ以降は、私和珞が現在の師に教わった事や、推命時に学んだ事を
主に書きます。
(辛と庚の関係)辛(かのと)は基本軟弱で柔らかいものに例えられ
汚れる以外に、本来は心強い見方となる筈の「かのえ」兄である堅い庚から
傷つけられる事を恐れます。(側干・還流では、臆病・神経質)
日干辛の側干庚では、月干であれば働き盛りの前半や社会環境から、
時干の庚であれば晩年いじめの被害に合う可能性があります。
又どちらも世に出難い方が多くおられ、大運での庚運では同じ事が言えます。
(辛と戊の関係) 戊と辛は相性が良く、戊山は辛が産出される場所で
(戊-印綬)は母親、又は家の様なもの、特に柔らかく弱い辛は
戊山に守られる事を好み 日干辛に月干に戊の透干があれば
社会環境に出る事を怖がりません。時干の透干では、月干次第で、
後に戊山が控えた気強さを見せながら社会環境へ出て行く(小さな犬が、
飼い主に連れられて歩いている様な) 家庭では、気に入らない事があれば、
自室に籠ったり、日中でも布団に長い間潜り込んだりするが、
必ず何事もなかった素振りで出てくる。印星の戊としてはもっと面白く!
戊印星は知恵袋、辛に取っては大きな知恵袋である為、
何でも知っておく必要があり、特に身近な人達の興味の対象を
同じくする事が多く「雑学」に優れた人で、
時(忌の戊や忌運など)に大風呂敷の状態で
間違った知識を提供しても平気な時がある(知ったかぶり)。
< ちょっと難しいが推命ではとても大切な事 >
このブログを書くと同時進行で、平岡滴宝先生の虎の巻を書き写していると、
このブログに書こうかと迷う、また長くなるなと苦笑
しかし書かなければ忘れる「書こう!」と決めました。
(滴宝虎の巻より)
「 〇命式は順すなわち吉(成敗より大切)
①辛 己 壬 ②辛 壬 己 ③壬 辛 己
いずれも 汚玉 濁壬。 辛己に壬の行運も汚玉 」
これだけの文面です。三つの並びは、辛が汚れるのか(汚玉)
壬が汚れるのか(濁壬)見極めなさい、と言っています。
①は汚玉を濁壬で洗う ②は濁壬
③は汚玉、丑や辰の地支では、還流で汚玉を濁壬で洗う状態になりますが、
丑は上記の如く、辰の場合、は丑の粘土くらべ粘り気がなく落ち易い土ですし
金をよく生じ辛に取っては悪い事ばかりじゃない地支と言える。
辛が日干の時、濁壬(正財)は財的な考えのずるさ。汚玉では、
(己・食神)名声的を落す様な失敗の可能性などを見ます。
己と壬の強さもポイントになりそうです。
同じ辛己壬の透干の命式と比べ、並び方が違えば性格は大きく異なる事や、
命式の元運(元亨利貞)の該当年齢での見極め、そして環境(実家・社会・本人
将来や子供)の見極めの必要性、これだけの少ない文に多くの
意味が託されています。命式は順すなわち吉(成敗より大切)
この文は 己辛壬の関係は順生が良く 吉凶を見る事より重要と言っています。
③の形も順生ですが、己時 辛日 壬月と並ぶ方が月干壬の社会環境や、
元亨利貞は20歳から40歳の助けが得られる可能性がありますが、
大運順行の場合、30歳代では丙運強化もしくは化水運、40歳代壬と干合の
丁運が巡り働き盛り変動が大きく 逆行運の人が良さそうです。
辛はこの様に 干関係によって辛の状態を把握する事は、
大運で吉凶を見る事以上に見極める必要があると言っています。
※夫々の干や支には役目があり、大運での変化では、当然ですが変化後の状態を
推命します。
参考文献 平岡滴宝著 「新訳・滴天髄」
( 子峰院 占い人・和珞 2019/04/13 )
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