平岡滴宝著「四柱推命の秘則 新訳滴天髄」( 地支論 )

  (子平学 四柱推命 運命学)

 この書を編纂したのは、明の太祖朱元璋を助けた劉伯温と言う人で、

時代は1311年より1374年の間、元末期より明の初期洪武の時代に生きた人です。 

初めて五行の生尅のみを重視し従来の神殺看法を除きました。しかし 

明代にこの書の註釈した書物がない為 この書の意義が認められるように

なったのは今から約三百八十年位前頃ではないでしょうか。

 

( 滴天髄の訳本や註釈本で、新訳滴天髄の参考文献の一部 )

清代の初め  陳素庵氏  「嫡天隋輯要」(註釈本)

その後    任鉄焦氏  「滴天髄徴義」(訳本)

近世     徐樂吾氏  滴天髄徴義を更に①註釈や②補註を書物に

近世     袁樹珊氏  「專闡微」滴天髄徴義を更に註釈

 

※日本においても数人の方達がこの書を訳されています。

※私は陳素庵氏の概要の目録に従いました。素庵氏は言っています。

この書は干支の情、陰陽の変を言い、格局にこだわらず神殺をもちいず、云々と。

 

< 地支論より >

 陽支は動いてかつ強く、速達に災祥を現し、陰支は静かでかつもっぱら否泰

つねに年をへる。

 生方は動くを恐れ、庫開くによろしく、敗地冲に逢えば仔細にさばき、

支神は只冲を重きとなし、刑と害は動いて動かず。

 暗冲暗会最も喜びとなすは、彼が我を沖するや皆冲起こり、旺の者達を

冲すれば旺の者抜け、衰の者旺を冲すれば旺の神放つ。

 

( 訳 )

陽支とは、子寅辰午申戌を言い、陰支とは、丑卯巳未酉亥を言います。

動くとは冲等によって変動がある時を指し、陽支の場合は早速に災祥が

出ますし、陰支の場合はじっくりとその現象が見られます。

 生方とは、(四生とは寅申 巳亥。四敗とは子午 卯酉。

四庫とは辰戌 丑未。)夫々の冲を現しています。冲によって変動が起る時は、

地支が天干の持分の仕事をサボりますから、喜の天干の変動を恐れ、忌の天干の

変動は反って都合が良いことになります。四庫は各々三つの持分がありますから、

命式をよく調べてからでないと良い悪いは結論出来ません。但し忌の戊や己にだけ

働く命式は冲となった方がよろしい。

 地支同志の変動には古来より冲や支合の他に刑や害もあげられていますが、

任氏や楽吾氏等も、刑害は害があるとばかりは言えず、有用な時もかなりあると

古書の例を引用し説明さえています。伯温氏は、はっきりそれを指摘されたと

言えるでしょう。即ち運命的な変化までは至らないと言うことです。

 暗冲、暗会を地支蔵干中のかくれた部分の、気同志の冲を指して説明された

書があった様に思いますが、参考五書共、彼とは行運、我とは命式と説明されて

おり、命式上だけでなく、行運の地支と命式の地支とでもそうしたことが起り、

命式の地支が支えている天干が、旺じていても又弱くても変動があるとし、

忌の干を弱める方の冲は喜んで良いと言っています。

 

( 解説 )

十二支については、素庵氏、楽吾氏等は、複雑で簡単に説明しにくいと

言っています。それは 地支は干の気を夫々内臓しているものが多く複雑となる

からです。地支の働きとの主なものとしては、月支にかかる旺衰、通根説による

強弱それに冲支合、刑害等があげられます。

 

( 追補 )

 陰陽支の動きについては、天干が陰支に支えられているよりも、陽支の方が

強いと見ている為で、冲で抜けた時の変動の大きさを言ったもの考えられます。

 暗冲暗会は、命式と行運のとの冲会を指すのは前述の通りです。

又暗会の会とは三合会局のことで、例えば命式に寅午戌の火局を形成し、

忌の丙又は丁が透干している場合、行運に子がめぐって午を冲し三合が解け

丙丁の力が弱る状態を最も喜びとなすと言い。反対に、命式に子申があって

天干に忌の壬が透干している場合、行運で辰がめぐって水局すれば

困ったことで、喜べない状態もおこります。

 

  

< 和珞、地支についての余談 >                       

〇比劫敗の透干がなく、日干1干がしっかりした根を持てば 冲支合で根が

抜けた場合喜忌に関係なくその調候は気をつけた方が良い事が多くあります。

例えば日干庚に通根1支だけの申は、陽支でしっかりした性格の事が多い様ですが、

行運の寅や巳の冲合で抜けた場合は気弱になります。このような人は気性にむらが

出がちですが、申が時支で害の関係の亥が年か月にあれば、冲支合の関係は起らず

申は助かり それが原因の気性のむらと言った性格は出にくくなります。

この様に害は申を助け悪いとばかりは言えない一つの例です。     

〇地支には巳や亥の様に陰支でありながら 巳は丙庚、亥は壬甲と陽干を

より強め「体陰用陽」と言った地支もあり、その反対に子は陽支でありながら

癸の陰干をより強め「体陽用陰」と言われる地支があります。

そう言った意味での配慮が推命上必要な場合もあります。現実的には、

現在の師や占術仲間は言います。

「刑害破は馬鹿にならんよ」と そして「宿命」の言葉を耳にします。

私自身も無恩の刑もちで、身近な人達との関係が突然降って湧いた様に

上手くいかなくなる事があり、子供達との関係は良好を保ちたくて干渉は

慎重を心掛けています。  

〇地支の蔵干での暗合は 現在の師から使い方を教わり、

頻繁に使い推命上重宝しています。又ブログなどでも書いています。       

子丑亥が揃えば、酒の三刑や三酒の刑などと呼ばれますが。

昔は飲む・打つ・買うなどと言って、酒だけの話ではなく

異性問題と酒と賭け事の三点が揃っての身を持ち崩す話も聞き

「宿命」としか言い様のない事が多くあります。また3支の内 

命式に2支あり行運で3支揃う時期は注意が必要です。   

〇刑害破の組み合わせ、象意は平岡滴宝訳 神峰干支体象詩にも書いています。

又ブログでも書いて行きたいと思っていますが

、師は言います「地支同志の 蔵干の愛称を見る事が一番大事」と。                 

( 滴天髄、劉伯温氏による通根説、通根表 )                                         

                           

甲乙(木)=寅 卯 辰 亥 未                    

丙丁(火)=巳 午 未 寅 戌                    

戊己(土)=辰 戌 丑 未                      

庚辛(金)=申 酉 戌 巳 丑                    

壬癸(水)=亥 子 丑 申 辰                    

 

   

土は、辰丑、戌未と冲にならない順

にならび揃っていれば四位純全となる。この様に伯温氏の通根説は局気の地支を

重要視しています。暗会の説明での「三合会局」ですが、「方局」も会局と

同じく推命上2支の場合と3支が揃って局をなす場合と強さ的には相当違いがあり、

会局と同じ様に考えていま

す。局が揃った場合は3支でも4で計算 冲・支合で局でなくなった場合は

地支の数で計算しています。                          

 土の地支辰 戌 丑 未には二気説と三気説がありますが、季節を重視する二気説を

採用しています。辰は春 未は夏 戌は秋 丑は冬 月令は節日(節日を入れて)

から12日までは 辰は乙 未は丁 戌は辛 丑は癸。13日目から次の節日前日

までは 辰は戊 未は己 戌は戊 丑は己になり「土用」と

呼ばれる頃(季節代わり)にあたります。

辰戌、丑未の四庫は、辰は乙戊癸 戌は戊丁辛と三気の中でもこれらの

蔵干をより強め、丑は己辛癸を 未は己乙丁を蔵干をより強め、冲や支合に

ならない場合 側支や同じ干を支える場合は、相性の良くない蔵干が

あればそれを推命に活かす必要があります。    

※これはあくまでも一つの論です。滴天髄には数多くの論があり一つの

論にだけ固執、拘れば推命に間違いが生じやすく、それを防ぐ為に多くの

知識を身につける必要性を感じています。私は「子平学は、疑う学問」と

考えながら、演繹で満足の答えが出尽くす推命を心掛けています。          

滴宝先生は著書の中で仰っています。

「子平学は、色々考えさせられる学問」と。

 

参考文献  平岡滴宝著 「新訳・滴天髄」 

      平岡滴宝訳 「神峰通考 干支対象詩」 

 

( 子峰院 占い人・和珞 2019/04/21 )

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