子峰院  和珞の鑑定例118

 運良し悪しと精神面で状態とは異なり

精神状態で大運を取らなければ、依頼者には納得して頂けない事がしばしば

有ります。若かりし頃、喜忌を基本通りに取った大運に、御依頼の方は

「内の息子の運はこんなに良くない」と、納得頂けず

再度精神面で取り直した事があり、私はお断わりをしましたが

過分な報酬を押し付けられた苦い経験の持ち主です。

 

この命式は、精神面重視の見方で大運を取りました。

命式は

庚と辛(日干・本人) 庚は「庚鉄頑鈍・・」 辛は「辛金珠玉・・」と

干支体象詩は言い、

庚は鉄の様に硬い物、辛は珠玉で汚れたり傷付く事を恐れます。

辛は側干の庚鉄によって傷つけられています。又体象詩は「成就不勞炎火煆」

辛を丁火で平均を取るのは感心しない、と。殺でもある丁との相性の悪さを言い

庚は、程良い強さの壬水からは洗金、

強い庚に酷く傷つけられた辛は 丁火にも弱められている事になります。

 

< 命式・男性 >

時 日 月 年    冲・支合・干合なし 月令‐戌 季節-秋

殺   劫 傷    庚辛2干3支(方局) (6) 

丁 辛 庚 壬    壬1干1支

酉  戌 申    丁1干2支

辛 己 戊 庚    

 

A日干劫6 対 B傷殺5  AとBの差は1と少なくほぼ平均の取れた命式

Aは忌 Bは喜となる

用神取法-扶抑法   格名 内格偏官格

 

< 命式の特徴と性格 >

日常は庚日生まれの様に装い強よそうに見えるが 内心は神経質で被害意識や

警戒心の強い人である。運によっては鬱など社会生活が送れない状態に堕ちる

可能性が強く精神面での鑑定が必要。

心配事が多く、反発の様子を見せながらも、嫌に人に調子をあわせたり

従ったりして身を守ろうとする処が伺えます。

傷官や偏官性格もあって人見知り、上記の事もあって社交性には欠ける

傾向ですが、壬傷-丁殺の数字的にほぼ平均が取れ水尅火は自由嗜好で

縛られる事を嫌います。経済面にさえ恵まれれば一人でも大丈夫な人です。

 

< 大運 >             

95 85 75 65 55 45 35 25 15 5

✓     ✓ ✓ ◎ ✓   ✓

庚 己 戊 丁    癸  辛

劫 倒 印 殺 官 才 財 食 傷 比 

申 未 午 巳    丑 子 亥

  ✓ 〇 △ △ △ △ 〇 

 

< 大運では >

〇壬運は辛を苦しめている側干丁を壬で合去しても A6・B2と忌運

象意の悪さで、精神的や経済面での苦労有り

 

〇日支未は、行運の甲と還流して丁を強める毒の地支 

冲・支合で抜ける丑・午運は精神的に多少安定。

 

〇甲運は未の地支を持ち、庚に切られ洩気(燃え易く)

燃料となって丁火を強め喜忌変遷 全ての管理能力の衰えで物を失ったり

盗難の可能性は、貧乏感に襲われる可能性。

ここでも庚鉄は、悪さに荷担しています。

現実でも常に注意を払う必要があるでしょう。

 

乙運は庚を合去、側干となった年干壬は時干の丁殺の作用を弱め

精神的にも楽になり何事も上手く行き人生で最高の時期となる可能性。

人との接し方や物事の考え方を、人生の調節法としての

感覚能力取得可能時期(本人次第)。

その感覚は後の人生に活かす事が出来れば、精神的にかなり楽になります。

この時期に就いた仕事や環境、人との出会いは生涯大事にするべきでしょう。

 

〇丙運は、日干辛と強化の三倍に戌未を通根、喜忌逆転忌運。

強い丙は、壬庚辛を弱めた上、丁を隠蔽で弱めた状態は命式全体が元気

を失い精神的に酷く追い詰められる可能性。 

 

( 敗財・劫財について )

日干が陽干で同気の陰干は敗財 例えば 甲には乙 戊には己 壬には癸

日干が陰干で同気の陽干は劫財 例えば 乙には甲 丁には丙 辛には庚

敗財に比べると二面性は劫財の方が強く現れ、協調性や同調性の性格で

時に自身の本心を隠し人に合わせ過ぎる事があり、それが原因のストレスや

無理しすぎの精神面や体調を壊す等の問題点が発生します。

これを門下生は「劫財性」等と呼んでいます。

この様な特徴を捉えての推命も一つの手法です。

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 ( 天干の並び方が変われば )

地支は同じで、時壬 日辛 月庚 年丁の様に 年干と時干が入れ変わるだけで

この方は偏官・傷官の良さを発揮でき、秀才で器用、運に恵まれれば

かなりの人になる可能性があり、並び方によって人なりが変わってきます。

 

 

適宝先生は、「子平学は深層心理学とよく申しておりました。

命式の一つは環境要因、もう一つは自身の心に潜む性分です。

人は知らず知らずの内に 自身の持つ性分との戦いで苦しんでいる事が

理解できれば 精神的苦労は半減するのでは無いかと考えます。

 

(ブログの参考文献 )

平岡滴宝訳  「新訳・滴天髄」 「神峰通考・干支体象詩」

平岡滴宝著    「子平学・四柱推命法深書」 「秘本・子平廣論」 

 

( 子峰院 占い人・和珞 2021/10/09)

 

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