創作小説 < アイツ・13 >

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<アイツ>

中学校生活は、入学当初思い描いたほど呑気ではなかった。部員のいない園芸部に

志を同じくする美枝と入部、ヒョンな経緯から校長に誘われ書道同好会を立ち上げ

クラブへと昇格 そして生徒会役員書記と中学生活は思わぬ方向へ、舵は切られた

のであった。一人では到底無理であろう仕事を、仲間に助けられて遂行できたし

協力助け合い、お互いの話し合いによって順調に進む事を学んだのであった。

時が経つのは早いもので、全ての活動は速やかに行われ、三年生と突入クラス替え

もあった。

 

( 修学旅行の計画 )

 アイツとは三年生になっても同じクラスになり、安藤・久美・靖子も同じクラス

で郁・美枝・桂子とは別クラスになった。

三年生になると直ぐに、五月半ばに行われる修学旅行の計画が立てられた。

修学旅行は四泊五日、行き先は大阪と京都・滋賀である。四泊のの内二泊は汽車

である。それも寝台ではなく普通の座席、特に生徒の多くがこの車中泊に興味を

馳せ心揺さぶられたのは、座席の指定は無く、誰とでも良いが前もって計画

関係者全てに報告周知の為に生徒達はお互い話し合い決定、それから計画表が作ら

れるのであった。条件はプラスされ往復の座席配分は違わなければならなかった。

近くに座る人は生き帰りで違う人を選ばなければならなかったがクラスは違っても

良かった。アイツは生徒役員の長として重要視したのは「決して仲間はずれはして

はいけない、特に帰りの車中は疲れているかと思いますが、エッと思うような意外

な人を話し合いで選んで下さい。先生方の許可は頂いています」だった。

この案には生徒達は驚き、しかし、真剣に取り組んだ。計画表を作る期間を考え

れば座席の組み合わせを決める時間は二週間程しかなく、生徒達は根回しに

大慌てだったが、私はと言えばなる様になると、殆んど選んでくれる事を念じ

待った。すると靖子「私達の行きは決ったよ。ジャンジャン!」と言い、久美が

「私達三人と司(アイツ)君で~す」「エッ!何故?」と聞けばアイツが靖子と久美

に願い出たと「司君は賢くって、私と久美に取って憧れも憧れ、天上の人みたいな

人だから文句の付け処なし決めたよ」と靖子 二人がこんなに喜ぶなら私にも

文句は無し行き車中は決った。問題は帰りのエッと思うような意外な人?何とか

なるかと思っていたら、学校の廊下を一人で歩いていると我が家のお隣の潤子が

向こうから普段見慣れない愛想でやってきて「オッ!修学旅行の帰りの汽車中一緒

しないかな~?」と「いいよ」と決った。「向かい合わせだから後一人か二人だな」

と潤子「心当たりがあったら聞いてみて、私も意外な人考えておくから」潤子。

二人で探せばややこしくなるので二日は待機しようと考えた。次の日潤子

「誰かいた?」「いいえ」「加茂さんと大戸さんで良いかな?」

「良いよ。これで決りだね、報告しておくわ」「お願い」これで私は解決。

 

( 潤子 )

 潤子の家は我が家の直ぐ隣、地域的には珍しく二件の家は三メートル程しか

離れいない、境界は石積みの塀に蔓バラが植えられていて、季節になれば毎年

小さな赤い花を沢山咲かせるのであった。塀は人が通れる程に開いており、お互

いの家族は其処から行き来をしているが、潤子と私は顔見知りではあるが小学生

からは話しをする事は殆んどなく、ばったり会っても目を合わす事すら無かった

のである。派閥と言うには一寸語弊があるが、仲の良い友達も違い、不思議にそう

言ったグループは溶け合う事が無かったのである。それから郁と私と安藤は自分達

の事が決まれば、孤立している人はいないか情報を集めたが、誰一人として

孤立している人はいなかったのは大助かりであった。安藤も郁も意外な人を

探し出していたのも安心「司は、どうなったかな?」と安藤は余裕で人の

心配をしていたのであった。

 

( 中野君 )

 三人でアイツに聞いてみた「意外な人は見つかった?」と「中野君がOKして

くれたよ」「へえ~」とこれも又意外や意外。

 中野君は、読書家で知られ勉強もよく出来た。小学生の頃は鉄くず拾いが熱心で

クラス仲間はよく手伝わされたものだが、高校に行く予定は無いとの事だった。

私は小学校学年より図書館でよく遇っていて男前で賢く憧れていたが

“何時の時も良い男には、必ず良い女がいる”それが子供であってもです。

彼には小学一年生の頃より大好きな同学年の浜田真知子と相思相愛の仲で二人は

何時も一緒にいたが、図書館では中野君は一人であった。中学校の図書館

でも偶然よく会う事があって話が弾み、面白い本の種類や感想をネタばれしない

程度に聞かせてくれたのである。ある日「姫野!司とは深入りしない方が良いよ

苦しむのは姫野だからな」と言われた事があった。「そんな事がある筈ないよ

絶対に」「それなら安心だ」と心配してくれた事も、アイツとは口も利きた

くないと言う雰囲気だったなと思い出した。アイツと言えば「僕は、中野君は苦手

だな」と言っていたのを聞いた記憶がある「勉強は出来るし無口で厳しい処があっ

て側に寄り辛い」と言っていた。アイツに取っては最高に意外な人であったのは

確かである。そんなこんなで全ての学年生徒の座席は一週間で決った。私は学年

書記として計画表の下書きを大体済ませ訂正を待ったが、その訂正は無かった。

時間はたっぷりあったので計画表は思い通りに仕上がった。

そして 三年生全員体調を壊す事も無く期待に胸膨らませ 

さあ!修学旅行へと出発・・・・おわり  そして つ・づ・く

  子峰院 和珞の創作小説「アイツ」でした。

 

 

 

今回、金子みすずさんの詩から「淡雪」を選びました。

( (淡雪)   作:金子みすず

雪がふる、雪がふる。

落ちては消えて どろどろな、

ぬかるみになりに 雪がふる。

兄から、姉から、おととにいもと、

あとから、あとから 雪がふる。

おもしろそうに 舞いながら、

ぬかるみになりに 雪が降る。

 

 

火星が綺麗で毎晩夜空を見上げています。

昨日から気温はグッと下がり寒さが身に沁みます。

「師走」気持ちは逸りますが 足元と健康には

どうか 留意下さいますように。(和珞)