創作小説 < アイツ・15 >

子平学・四柱推命の最新のブログです。

( 反生反尅の理と干支体象詩 )

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https://sihoin-waraku.hateblo.jp/entry/2023/01/04/165816

 

 洗濯物を干した後必ず、糸くずは無いかと下をみます。何故かと

言えば、私は縫い物を頻繁にする為、よく糸くずが着ている服に

ついて動くとその糸くずが落ちます。干し物をする場所は、植木等

があり小鳥達がよく遊びに来る場所です。十年以上昔、足首に

糸を絡ませて足を傷めたスズメが来ていましたが、日に日にその足が

縮れそうで、最後には足先が無くなり不自由そうに歩くようになりました。

自然界の生き物に餌付けをする事は嫌いですが、この時ばかりは、

この子が来なくなるまでパン屑や食べ残しのご飯等を与え続けました。

この事があってからは、地べたに落ちた糸には注意を拾うようにしています。

 

では、久々の < アイツ >です。  

 修学旅行を、何事も無く無事終えて、経済的に公立の学校にしか

行けないが、成績がかなり怪ぶい級友達が何人かいる事を、郁に話して、

私達に出来る事は無いかと相談を持ちかけた。郁は「それは、考える必要が

あるけど、問題を解決するには私達二人だけでは無理よ。賢い友達をもう

二・三人は集めないとね。でもその人達だって同じ様に進学を控えていて、

他人の事所ではない人もいるわけでどれ位の人から協力を得られるか、

そしてこれは個人個人のプライバシーに係わる事でもあるし、信頼できる

人で無いと、そうすると協力者は絞られてかなり少なくなるね。

救いの手を必要とする人はもっと増えてくるよ。これは学校の問題

でもあるけど、学校は昨年までしていた補習はしてはいけないと、

教育委員会からのお達しが出ていて出来なくなったらしいよ」

「なでそんな情報をもっているの」

「父の関係からね」

「なる程、お父さんは県庁務めだからね。」

「学校はそれで苦慮しているみたいよ。なにせ内の学校は市内でも公立の合格率

は最下位だからね。でもね!まさる、なんでアンタは、その話しを私に持って

来るのよ。一番相応しい人がいるじゃん。司なら絶対に何とかするよ。

アイツは、なんせ力持ちなんだから。」

「司君の事は考えなかった訳ではなったけど、最初に思いついたのが

郁だったし、司君は自分の勉強で忙しいだろうなと思ったから。」

「司なら、ここの普通科高校なんて楽勝・楽勝!転校して来た頃の

司とは運傳に違うよ。二人でアイツにも話してみようねッ!」

アイツに相談)

「その事なら僕も二人に相談しようと思ってたんだ。

中野君と付き合っている浜田さんがね、商業高校に行きたいけど

担任からは成績で無理と言われているらしいが、私立には家計上行け

ないらしくってね。」

私「そうね あの二人は家が近くで幼い頃から好き合って将来を

誓い合っていて、二人共父親不在の母子家庭で頼る人もいなく貧しく、

二つの家庭は寄り添うように仲良くしてきたらしい、で、

中野君は夢があるけど高校には行かない、変わりに二人の将来の為に是非

浜田さんには、経理の勉強が出来る商業高校へ行って貰いたいが、

学費は中野君が工面する為、学費の安い公立に行って欲しい。

これが中野君の望みらしいのよ」

郁「まさる!やけに中野君や浜田さんの事に詳しいじゃないの?」

アイツ「まさると中野君は、読書仲間で中野君に言わせるとまさるは、

唯一無二の親友らしいよ」

郁「中野君は、まさるの初恋の人らしいし」

私「馬鹿言ってんじゃないよ」

アイツ「へ~そうだったんだー 中野は、僕もカッコイイ奴だと思うよ。

真っ直ぐで勉強家で第一人を裏切らない!」

郁「へぇー、ついこの間まではけちょんけちょんに中野君の事けなして

いなかった?」

アイツ「そうかもな、でも人は見た目や第一印象で決め付けてはいけないと

判ったし勉強にもなった。僕が女子だったら中野に惚れるだろうな」

郁「そういう意味でも、修学旅行帰りのあの意外な人との組み合わせ、

あれは良かったねェ司。まさる、あれを計画だてたのは司って事

知っていた?生徒会長の身分を利用してね」

私「へぇーそうだったんだ・・・」

アイツ「それよりも本題に入ろうか」と、アイツは話題を変えた。

そして)

六月から、公・私立の受験までおよそ七~八ヶ月期間的に成績によっては

長いようで短い、私は家族の許しを得て、だだ広いだけが取り得の我が家を

希望者には、土曜日の午後と日曜日に提供して、問題集を持っている人からは

各々が貸借や丸付けをし合う様な処から始めようと思った。すると郁とアイツも

不要となったなった問題集を提供してくれた。二人共問題集に直接答を書き

入れていなくって重宝できそうであった。

 

ある日の放課後 書道部の部室で校長先生から数人で直接書き方

を指導され終った頃、校長「まさる君の家では、数人集って

勉強会みたいな事を始めたんだって?」「はい」それから希望する

進学校の為の学力が不安な級友が数人いる事等を話し始めると、

「一寸、腰を落ち着けて伺いましょうかね」と

部員は雰囲気を察知、皆は支度をサッサと済まして帰って行った。

「今は夏休みが終るまでは、我が家で問題集や教科書で勉強して、解答に丸付け

をしあったりしています。伊藤(郁)さんと司君が時々来ては

解らない人に教えたりもしています。」

「それに、まさる君もね。君も彼らに劣らずできるからね。

助かります。この地域は農家が多いせいでしょうかね。市内でも

我が校は成績が振るいませんね。アッ!もとい、君のお家も農家でしたね。」

「いえ、そうかもしれません」

「今しばらくは、このまま続けて下さい。夏休みが終る頃、私もその具体策を先生

達と考えて実行しますから、それまでは三人にお願いします。

但し自分達の事も忘れてはいけませんよ。」

生徒会役員会が終了後、校長からアイツ・郁・私に「宜しくお願いします。」と

言われ「しかし 自分の事を優先して下さい」とも言われた。

 

隣家の潤子に声をかけたら、最初の土曜日は大戸さんを含め三人集まり徐々に

志を同じくする人達が増えていった。

私は、公立高校は中学校で習った事をきちんとやれば良いだろうと思い、

中学校の定期試験過去問や教科書を持ち寄り復習する方法を考えた。

郁やアイツは、公立大学を目差す優れものだけあって問題集は人に提供できるほど

沢山持っているが、迷える子羊達は二人程勉強するのは厳しい。

取りあえず基本を身に付ける事が先決と考え、期間テストの答案用紙を処分した

人もいたが、大事に保管している人達が持ちよると、皆はそれを上手に使いまわし

役立てるのだった。ノートに書き写したり、重要箇所はポイントを押さえ

質問形式の問題を作り、お互い質疑応答で確認し合ったり、

答え合わせをしたりと、私も皆と一緒に答え合わせや聞き合って

勉強をすれば、同じ様に復習が出来て自分を犠牲にしている事など

全く無く、むしろ一緒に受験準備に役立てる事が出来たのだった。

将来を真剣に考えて若者達は、背水の陣で立ち向かい必死だった。

ただ、偶に秀才のアイツや郁が来ても入る隙が無いのは、決して

疎外や妬みでは無く、理解できてる人のやり方では無く、

自分達で模索した勉強法を身につけ、いずれ独りで勉強が出来る

様になりたのである。彼らは、今迄その勉強の仕方が解らなかったのである。

私はむしろ迷える子羊達の仲間に入れて貰えて嬉しかった。夏休みが終る頃には、

皆かなりの量の復習が出来上がり、二学期最初の実力テストの準備迄出来たが、

それには、まだ不安がたっぷり残っていたので、私が予測を立て

「外れたらゴメンネ」と言い伝えて、この問題も皆で解いたり

覚えたりしたのであった。

 

潤子の母)

 潤子の母親の名は美佐子 隣家である我が家へは三日にあけず

お茶菓子持参で訪れ、祖母や母と世間話をして帰る。祖母や母は

彼女の事を「美佐ちゃん」と呼ぶ。ここでは私も時々美佐ちゃんと

呼びましょう。つい最近迄勉強をしなかった娘が最近になって真面

目に勉強に取り組む事に驚き、感嘆している。その事について祖母や

母に「まさちゃんが潤子と仲良くしてくれる御蔭で、あの娘の将来

に希望の光が見えてきたのは。まさちゃんの御蔭としか言えん、これ

からは、まさちゃんのきものは私がみんな拵えるから」と、彼女は、

和裁の名人なのである。夏休みは私に浴衣を一枚縫ってくれ、その

生地は、今迄祖母が縫ってくれたものより高価なものであった。

潤子も母親が縫った浴衣を着て、我が家で勉強する友達と、私も浴衣を

着て一緒に近所の盆踊りの梯子をして楽しんだ。

ある盆踊りの日、潤子、私の手を握って離さない「私さ、まさると

こんな風に仲良くなりたいと思っていたけど、私の意地っ張りが

今迄邪魔をしていたので、これからはもうまさるを離さない、ずーと

ずーと友達だからね」泣き虫な私は又、涙が頬をつたって流れたけ

ど直ぐに拭いて頷いき「ずーとね」と返事を返したのであった。

 我が家の勉強場は、潤子、大戸さん、時々美枝、浜田さん、時々安藤、

進学勉強には縁の無い久美と靖子は「これから将来の為に勉強に参加したい」

と、意外な人達同志が和気藹々と勉強に勤しむ奇跡が、発生する場所と

なったのは、確かであった。

 

夏休みが終ると、学校が、志望校への成績が多少余裕のある人、無い人

を集めて教室を提供してくれると申し出てくれた。

「これは、決して補習ではありません。」と付け加えられたが、

何故だか母親たちは、教室の運動場側の窓に掛ける分厚くって白いカーテンを

手分けして縫う事を依頼されたのである。

 

生徒会役員は二年生へとバトンタッチされた。

                                 

アイツ)

「まさる達の勉強法は、僕にも勉強になったよ。教える事は難しい、教える側は、

つい上から目線で良い気分になりがちだけど、相手の気持ちを考えないとね」

私「ごめんね。多分司君は、私達が言葉足らずだから誤解していると思うよ。

皆は勉強の仕方が解ってなかったから、なんとかその方法を自分で見つけようと

必死だっただけ、最近トンネルから僅か光が差してきたみたいだから、

黙ってその様子を見ていて欲しい」

「・・・・そーか」

多分アイツは自分の知らない世界を、垣間見ている様な気持ちなんだろうな、

と、思ったのである。恵まれた環境で育った秀才には理解出来ない世界ではない

だろうかとも思った瞬間だった。迷える子羊達は、否が応でも自立への時間は

限られている事を、最近になって突然思い知ったのである。

私も、幼さ故にアイツとの距離を確実に感じた。

 

 

 (  登場人物の紹介 )

 私-主人公、まさる(姫野勝)、将来と家計を考えて公立の商業高校志願 

  アイツ-司守(つかさももる)秀才、中学一年二学期最初に転校、

進学校の公立普通科高校から国立大学志願、夢は弁護士になる事、

 郁(かおる)-幼友達で秀才、先ずは地元の進学高校の普通科に進学、

夢は公務員そして国家公務員・高級官僚、よって最終学歴は国立大学志願

 安藤(あんどう)-幼友達で日曜日には仲間を連れて卓球をしに来る。

地元の公立水産高校進学希望。

 美枝-クラスは違うが二人だけで園芸部に入部、公立商業高校志願

 桂子-半島の先で養豚場、高校へは行かない。

 久美子と靖子(従姉妹)―幼友達

二人共、裕福層が通う私立の洋裁高校志願。

 潤子-隣家で同級生、公立の商業高校に行きたいが成績が伴わない

どうしても公立の商業高校へ行きたい。 

 加茂さんと大戸さんー修学旅行帰りの車中同席

加茂―卒業すれば地元を離れる 

大戸―地元の公立の商業高校に行きたいが成績が心配。経済的に

私立は無理。

 中野君と浜田真知子―将来を約束した恋人 中野は高校へ行く気が

ないが浜田は公立の商業高校志願。

 校長先生―書道部の顧問

 高橋美雪先生ー書道部の顧問

お・わ・り そして つづく   子峰院 和珞の創作小説でした。