高齢のご婦人は、軽い精神障害の息子さんと同居されています。
息子さんは障害を抱えていますが働けない訳ではなく、単純作業の仕事を
長年続け高収入とは言えませんが怠ける事も無く健康にも恵まれ
若い頃より一定の収入が毎月通帳に振り込まれいるそうです。
母親は、彼の将来を案じてその通帳には手をつける事はありませんでしたが
定期的に自宅を訪ね、二人の生活の手助けをしてきた娘さん(彼の姉)が久々に
弟の通帳を点検すればその額面の金額がかなり減ってきたのに気づき二人
に尋ねると、弟は「思い当たらない」と言い、母親は「知らない」と言うのです。
それから、娘さんは頻繁に二人の家を訪ねて様子をみていますと
母親がおやつを買うと言うので、近所のコンビニについて行きますと、母親が
カード入れから取り出して、支払いに使うのは弟のキャッシュカードでした。
母親に買い物の支払いは弟のカードを使うのかと聞けば
「これは私のカードだから」と言うのを聞いて、直ぐに認知症を疑いました。
娘さんは「いつもは弟のは使わないと言っていたじゃない。お父さんが
残してくれたものもあるし、弟のは触らないでおきましょう。」と言えば、
納得した様子でした。弟さんのカードは母親から取り上げ、弟さんと話し合って
将来自分で財産の管理ができる練習を兼ねて、弟さんと二人で管理をする
事に決めたそうです。
お母様の認知症の進行具合を心配して、依頼を頂いた時の娘さんから聞い
た話です。とても考えさせられたお話でした。
前置きが長くなりました。次は鑑定実例です。↓

<命式・男性>
時 日 月 年 干合・冲・支合無し
殺 比 印 比 月支-丑 月令-己 季節-冬の土用
丙 庚 己 庚 庚2干2支 (4)
子 申 丑 寅 己1干(令)1支 (2,5)
癸 庚 己 甲 丙1干1支 (2)
A6,5 対 B2 格名 内格編官格 扶抑用神-丙
元機-寅 病-丑
数字的には外格従旺になりますが、編官(殺)は丙、滴天髄は言います。
「丙は猛烈」と、1干1支あり側干の日干庚をよく制していますから
内格・身旺としました。
Aは忌 Bは喜となりますが、丙を弱める時期は忌運で、庚・己を弱める
時期は喜運になります。
< 命式について >
天干は、丙以外は忌 丙は唯一の喜です。「時上一位の財」と言う言葉が有り
ますが、この命は「時上一位の官」と言えるでしょう。
その上、年支寅から時干丙へと一直線で繋がっています。
滴天髄は言います。「その始まる所から始まり、その終わる所で終われば、
富貴福寿は永き無窮かな」と
勿論、始まる所も、終わる所も、喜でなければなりません。
始まる所は年干で無く、年支でも良い筈です。この命式はこの論に該当します。
青年期より、高い地位に憧れていたそうですし、母親からは厳しい躾けを受けた
そうです。同居では有りませんでしたが頻繁に連絡を取り合い、誰にも手を煩
わせる事無く、ご本人が60歳を超える頃まで御存命だったそうです。
さて、伴侶との関係ですが、日干庚に対し日支は申(正気の蔵干は庚)
意思疎通が取れております。価値観は同じですが論争を繰り返す傾向です。
しかし、丙庚と、丑子に囲まれた庚とでは、丙庚の方が控えめになり喧嘩に
迄は至らない筈です。
又、年干も庚、鑑定経験からこの様な命式の場合、父方と伴侶そして本人は
同業の事が少なくありません。この方もお父様もご兄弟、そして奥方、本人
皆さん学校の系統や種類に違いはありますが教壇に立ち人に知識を伝授する
お仕事ですから同業者と言えます。
さて、月干の己は丑が通根湿金汚金に繋がりますし忌の印綬
自身を贔屓にしてくれる、身近な親戚や恩師・上司となりますが、恩を着せられ
たり等と、日干庚・時干丙殺の性格から見ますと、その利害関係での利は少な
い方で遠回りの道となり、やはり苦労人といえます。
命式だけを書き上げた瞬間に感じたのは「誠実さ」でした。
それは日干庚に対して側干の丙1干1支です。丙は庚金を熔かす事は出来ませ
んが、柔らかくする事は出来ます。庚はソフトになり人当たりが良くなりますし
双方の強さや喜の偏官ですからキッチリ屋で誠実な性格になります。
< 大運 >
基本Bは喜運になりますが
※火を強める運は喜になりますが、二丙になる時期推命には要注意。
※土を強める時期は忌運、弱める時期は喜運
※金を強める時期は忌運、弱める時期は喜運
※甲運は、化土となって忌運。運の甲は戊に変化
※基本壬運は、丙を弱める事は出来ません汚金に対しては洗金、丙に対しては
「江睴相映 」干関係が良く喜運です。
此処で要注意は、「金多ければ水濁る」等の言葉が有ります。加えて己土も水を
濁しますから、喜運であっても濁った水では江睴相映 の効果がどれ程かで
推命すべきでしょう。
癸運は、雨雲で丙太陽を隠し「暗雲遮日」、庚に対しては錆と関係は悪く忌運。
この様に、同じ水であっても、壬と癸では喜忌が異なる場合が多々あります。
ご留意を
※1月生まれで、2月の節以前に生まれています。
96 86 76 66 56 46 36 26 16 6
✓ ✓ 〇 △ 〇 ✓ ✓ 〇 ✓ ✓
己 戊 丁 丙 乙 戊 癸 壬 辛 庚 丁戊己庚辛
印 倒 官 殺 財 倒 傷 食 敗 比
亥 戌 酉 申 未 午 巳 辰 卯 寅 壬癸戊乙丙
✓ ✓ ✓ ✓ 〇 〇 〇 ✓ 〇 〇
寅 寅 丑 子 申 申
〇大運の割には、名門大学に入学を可能にし無事卒業しています。
〇卯運に大学を卒業と共に免許・資格を取得。
〇壬運は、結婚そして二人の男子の誕生。
〇巳と午運は、功績をあげ昇進。
〇60歳を過ぎると、職場を変えて現役を通し丙運の始め頃に引退しましたが
趣味を兼ねて以前とは違う分野のお仕事に就き、現在74歳。
〇70歳過ぎて直ぐに今後についての依頼でした。
幼少期から扁桃腺を拗らせ、大人になってからも気管支が弱く苦労したため
特に健康面での依頼推命となりました。
〇鑑定経験からも、高齢で埋金となる時期、それが喜・忌運の係わらず重篤になる
ケースが少なからずありましたから、定期的な検査と予防をお勧めしました。
〇「今現在進行中の遣り掛けの仕事は上手く行くでしょうか?」につきましては
忌の日干庚に対して、喜の丁官運には「古い方法から抜け出られる」と言うの
がありますが、時干丙は丁を隠蔽、自身が思いついた方法より若い方の案を
重視する方法がベストかと考えます。
どちらにしても喜運ですから上手く行きます。
( 子峰院の出版物 及び ブログの参考文献 )
平岡滴宝訳 「改訂版 新訳・滴天髄」 「改訂版 神峰通考干支体象詩」
平岡滴宝著 「改訂版 あなたの運命のすべて」
「改訂版 子平学・四柱推命法深書」
「改訂版 秘本・子平廣論」
( 子峰院 占い人・和珞 2025/10/14 )
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