子峰院  和珞の鑑定例116

 この命式は、平岡滴宝先生が生前依頼を受けた方で、

機会があるならと発表の許可を頂いた命式です。

先生は、大運は54歳未運の胃癌を見抜いていましたし「恐らくは」と全て

御見通しでした。未は木火土を強めますが、木土の還流己土は乙からの尅よりも

甲から尅を受ける方が調候的には酷く命の問題が生じ、

健康的に一番堪える時期になると、又、喜忌の干を還流で結ぶ地支は時には

「毒にもなる事がよくある」と教わりました。

 

< 命式・女性 >     キ=喜  ィ=忌

時 日 月 年     月令-癸  季節-冬

才   傷 劫     卯酉-冲     

己キ乙ィ丙ィ甲ィ     甲乙2干0支 (2)

卯 酉  子ィ子ィ    丙1干0支 (1)

     癸ィ      己1干0支 (1)

     A(日干劫)2 対 B(傷才)2

   用神取法-扶抑法  格名-内格・傷官格

   丙-調候用神

 

木尅土の命式 Aが忌 Bが喜となる筈が下記の如く

喜の干=丁戊己

忌の干=甲乙丙(木を逆生)庚(強化・喜忌変遷)壬癸・辛(化水)

 

( 時上一位の財について )

「時上一位の財」とは、命式の天干四干の内、年・月・日干が忌で、時干だけが

喜の財干である事と教わっています。この命も時干が唯一の喜財となっています。

元亨利貞で言えば、あれこれ苦労の末掴む大財と言う事でしょうか。

しかし、病薬論等から言えば、いくら喜財であっても病の干であってはならない

筈ですから、この命の喜財は甲乙や水の月令そして水支との関係は

弱く病の干にあたり、時上一位の位置づけは無理では無いかと考えています。

 しかし、天干唯一の喜の干が制尅を受ける時は健康面でも被害が出ます。

現在医学での治療で、持病の域で済ませる事が可能となっています。

それに当っては自身の最もな弱点を、知る事では無いでしょうか

子平学では、内格か、外格かを見定め天干・地支の喜・忌を見極める

事が重要になります。

 

 

< 命式の特徴 >

〇寒暖燥湿の内、寒の命

〇内格日干類が、財星より強く一応身旺になりますが、身旺でありながら

心配性・神経質で自己顕示欲も弱く内気で消極的が、特徴の性格となります。

〇夫々の干は無根で元気が無いのは短所。強い尅の関係が無いのは長所。

〇喜の己が弱く、地支の水支2支が暗蔵養虎になった上月令も水である(短所)。

〇甲乙が無根で喜の己土を尅していない(長所)。

〇酉卯の冲は、酉の日支(伴侶)蔵干は辛に当り冲でなければ、日干(本人)乙は、

酷く弱められるが、それを制している卯の子供は母親孝行。

伴侶(日支)と子供(卯)は冲で喧嘩の関係は、苦労が偲ばれる。

 

< 大運 >       〇=喜運  ✓=忌運  

99 89 79 69 59   49 39   29 19 09

✓ 〇 〇 〇 ✓ ✓ ✓ ✓ ✓ ✓

丙 丁 戊 己 庚   癸 甲 乙   

傷 食 財 才 官 倒 印 倒 劫 比

寅 卯 辰 巳 午  申 酉  亥    

✓ ✓ ✓ ✓ 〇 ✓ △ △ △ ✓

    解   子       解 

 

< 大運は >

 49歳辛運は化水運 丙は壬 大運辛は癸に変化

〇19歳甲運は、時干己を合去で忌運、健康面を酷く害して

将来への不安と大きな出費の可能性。

〇24歳戌運は、酉卯の冲を解き、卯は甲乙、戌は丙己を強めどちらかと言えば

忌運ですが、己土に抵抗力がつき、年齢的に見て命式全体が強まり心身共に

健康で自信が持て積極になれる事は悪くは無いでしょう。

日支が動き婚期、この様な時期の結婚は実力以上・分不相応な相手を選び易く

苦労の始まりとなります。この間に実業家と結婚して子供を三人儲ける。

〇29歳からの25年間は、癸壬の印星運は月令子2支に強められ忌運、

天干全てに影響を与え名誉の失墜に己土への影響は、自転車操業で倒産、

再建を繰り返し、資金の遣り繰りに苦労をする。

〇49歳の辛運は、丙と化水、丙は壬に辛は癸に変化 全てを氷と雪に

封じ込められる調候で、将来性の長男を白血病で亡くす。

〇54歳未運は、甲乙と己に還流、未は子に元気を貰い甲乙は丈夫になり、

還流で喜財の弱い己土を尅す。この頃には強い胃痛の症状が酷く末期の

胃癌を告げられる。

〇59歳の庚運の庚は乙と強化喜忌変遷の忌運、年運は癸亥運、命式は冷たい

雪と金に痛めつけられた喜財己の症状は胃癌で亡くなられました。

 

< 最後に >

53歳まで酷い水運を、通常の生活を送りながら切り抜けられたのは、

弱いながら、調候用神丙(太陽)の透干があったからでしょう。

しかし、寒の命の上 行運(時・日・月・年)運では、還流などで木からの尅で

己土は弱り持病として胃の症状は若い頃よりあったのでは無いでしょうか、

経済的負担や、子供と伴侶の仲等が精神的な追い討ちをかけ

胃の症状はかなり酷かったと推測しています。

医者嫌いの命式で、若い頃より持病の手当てを尽くせば、

もっと長生きが出来たのではないかと思いながらの推命でした。

 

( ブログの参考文献 )

平岡滴宝訳  「新訳・滴天髄」「神峰通考・干支体象詩」

平岡滴宝著    「子平学・四柱推命法深書」「秘本・子平廣論」 

 

( 子峰院 占い人・和珞 2021/09/13)

 

子峰院へのお問い合わせはこちら

  ↓   

子峰院ホームページ

http://t.co/XRxE0QDoby 

子峰院 【最新改訂版 子平学 四柱推命法 皆伝書】

http://sihoin.web.fc2.com/shihei9.html