子峰院  和珞の鑑定例115

 

身旺・身弱の判断はそんなに大切でしょうか?勿論大事です。しかし、

そればかり重点を置けば、他の事柄が見え難くなる事から私は、

命式の帰納を重視しています。

この命も命式上は身旺ですが、性格的には典型的な身旺ではない事が

理解して頂けるのでは無いかと思います。

滴宝先生は、日干が陽干で同気陰干が敗財)と(日干が陰干で同気陽干が劫財

を、干関係を交えながら性格の違い、そしてその問題点を捉えながら

推命に活かす事を熱心に教えてくれました。

又、財については、命式に財の透干がある方が有利と言われますが、

帰納で見て行けば、その理論とはかけ離れた象意を見る事ができます。

理論は推命には大事な要素ですが、固執すれば見誤りが生じる事を

経験から嫌と言うほど学びました。この命も財の透干はありません。

 

< 命式・女性 >

時 日 月 年     干合・冲・支合なし

印   殺 劫      月令-丙 季節-夏    

甲 丁 癸 丙      丙丁2干(令)(戌巳未)3支 (6,5)     

辰 未 巳 戌      甲1干(未辰)2支 (3)

戊 己 丙 戊      癸1干(辰)1支 (2)

  A(日劫印)9,5 対 B(殺)2  AはBの三倍以上

 用神取法は専旺法(外格)  格名は外格従旺(身旺)

喜の干=丙丁甲

忌の干=癸    未=元機

 

<命式は> 

丁-地上の火  丙-太陽  甲-木  癸-夏は霧・雲・雨など

日干丁(本人)  丙丁―丙の光は丁の光を見え難くする(隠蔽)

癸は、辰に根を持ち火との関係もあって、觔斗雲の様な元気な雲

夏の丙に弱められ空一面を覆いつくす様な雲では無い(丙癸=激)。

数字的には丁が強いが水蒸気の様な癸は、丁に取っては

鬱陶しい相手 丁癸=激   

甲は辰(長養堪培)を根に持ち、丙癸は不要。根に未があるが丁への洩気の

抵抗力あり。丁火を強め難い。 

 

< 命式からの性格等 >                             

 日干丁は、表面上は丙日生まれの様に過ごし明るい、しかし劫財性強く        

 協調性や妥協性があって、対面関係では自身の気持ちを押さえる事多く、

 時に人の言い成りになる事がある。交渉、論争下手

 癸からは尅 甲からの生助は弱く、

 正気の地支蔵干は、土(食傷)多く本質は自由嗜好 しかし甲(印綬)木が暗に

 それを尅し、癸(偏官)との関係で、拘り強く、落ち着きあって対面を保ち

 きっちり屋 

 しかし 劫財性は、気心の知れた人や一人の時には

「私、何をやって事かしら?」と不足の気持ちが募る

地支の関係や劫財性もあって、言行表現(自己主張)は極普通

 総体的には、身旺でありながら、内面的な事を含め、

身弱傾向の様子を伺わせます。「思い通りに生きるのだ」

と言った外格従旺の性格ではありません。

 表面は穏か 内心葛藤多く 月干は忌の殺(偏官)は精神的な苦労人。

 

< 大運 >

99 89 79 69 59 49 39 29 19 09

 ✓ 〇 〇 △ ◎ △ ✓ ✓ ✓ ✓

 癸  甲 乙 丙 丁  己 庚  壬    →(年運)乙丙丁戊己

 殺 印 倒 劫 比 倒 食 財 才 官    ←天干運の通変星

 未 申 酉  亥 子 丑 寅 卯 辰    →(年運)庚辛壬癸甲

〇 ✓ △ △ ✓ ✓ ✓ 〇 ✓ ✓

  巳 辰 辰 巳   未   戌 戌    ←冲・支合する地支

 

< 大運は >

昭和二十年終戦の年に生まれ、父親は生後間もなく亡くなり、母親は舅姑の世話を

しながら農家を切り盛り、兄二人姉一人本人四人を育てあげました。

「何の不自由もなく育てられた」と本人の言葉です。

辰辛卯運は年柱を動かして、実家からの独立の可能性 卯運に実家の近くの男性

と結婚 命式上では実家の恩恵を受けていますし、

実家からは、婚家に本人が辛い思いをしない様な配慮もあった事でしょうし、

本人は実家の手伝いもした事でしょう

サービス精神は、社会環境だけに向いていませんし、月干は偏官で女命である

事から実質専業主婦でした。子供には恵まれていません。

〇大運戊運は、月令は火、癸と化火 戊は丙 癸は丁に変化 癸の傷は消え 外格

従旺の形は強まりますが、月令を持つ二丙の劫財性の強まり、

(陽干は季節に旺じられる)

この時期母親が亡くなり遺産問題が発生、兄妹との駆け引きは大人しく従ったと

思われます。遠くに住む姉は遺産放棄、三人の取り分では一番少なかったそう

ですが喜運!事の始まりはここから、遺産の畑は1枚 それでも広く幹線道路

に面し何より自身の家の傍にあって、以前から本人が耕していた畑でした。

この時点では、納得はできてないと思われる。

〇日干をより強める59歳からの丁運、ある施設団体からその土地を施設用に

貸して貰えないかとの打診、伴侶の進めもあって承諾しました。彼女はこの時期

から長年に渡り好条件から思わぬ財を手にする事になりました。

〇本年は76歳、大運は戌運辰を弱めて、甲木へ丁への洩気(丁火の強まり)、

癸を弱め悪くはありません。子供がいない為伴侶共々その施設に交換条件で

生涯世話になりたいがその交渉は上手くいくか?でした。

以降乙酉甲と喜運は続きます。交渉内容は無理難題でもない為

上手くいく可能制は強い事を伝えましたが、

劫財星の強い彼女のために是非専門家の方に相談される事を提案すれば

他の依頼い内容を含め大いに納得頂ける鑑定となりました。

 

< 最後に >

外格従旺・強の方は、喜運の時期は財に恵まれる方が多いようです。

財欲は強い方ですし、暗に財を尅し切れる事から何とかなるようです。

この方は、忌財の疵がありません。

辛運は、丙を合去(破格なし)

庚運は、戌巳が通根、財の破格運は経済的に苦しい時期ですが、年運が

救干になっていますし、年干丙は疵の癸を弱めて実家からの助けもある事から 

経済的に逼迫はしていない筈です。

現実的苦労は月干忌癸の偏官、主婦を全うしていることから「どんな苦労が?」

と尋ねれば、足腰の弱い車椅子の姑さんのお世話があったそうです。

 

神峰通考・干支体象詩・丁火詩は言います。「太陽相見奪光明」と、同じ火で

ありながら・・・ これを滴天髄は「真仮論」へと繋げて行きたいと思います。

次回は久々の滴天髄「真仮論」です。

 

(ブログの参考文献 )

平岡滴宝訳  「新訳・滴天髄」「神峰通考・干支体象詩」

平岡滴宝著    「子平学・四柱推命法深書」「秘本・子平廣論」 

 

( 子峰院 占い人・和珞 2021/08/23)

 

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