子峰院の最新ブログです。
(喜神とは・忌神とは)
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https://sihoin-waraku.hateblo.jp/entry/2023/01/14/142257
今月の18日皇居で、新春恒例の「歌会始」が行われ、御題は「友」でした。
心に止められた歌はありましたでしょうか?
私はありました。次の歌です。
神奈川県 岩田真治さんの作品
「つくるでもできるでもなくそこにゐたあなたを
わたしは友とよんでる」
どの歌も甲乙つけがたい作品でしたが、この歌には胸に旋律が走る
思いがいたしました。私にもたった一人ですが高校時代からの友で
二十歳過ぎてからは遠く離れていますが、帰省には必ず実家を訪ねてくれますし、
たま~に旅行をかねて落ち合ったりする「友」がいます。
彼女は私に取っては掛け替えのない「友」で私の人生に彩りを添えてくれます。
電話は、これも又たま~に、彼女は先日お父様を亡くしました。そんな悲しい
時には必ず、誰よりも先に私に連絡をくれます。
この歌を読んだ時、彼女の顔が心に浮かびました。
「逢わないと、私達年老いてしまうよ」とコロナの最中に言う彼女に「私達恋人
じゃ無いし」と冗談で返えしました。
さて アイツは16回目となりました。はじめます。
< アイツ >
あれから)
夏休みが終り、始業式の翌日から二日間に分け国・数・英・理・
社の実力テストが行われた。私の自宅に集って勉強した仲間達は今迄かって
なかった成績を出し、皆は周囲の者達を驚かせた。特にお隣の潤子はクラスで
七番と好成績を出し家族を驚かせたのは云うまでもなかった。母親の美佐ちゃん
は、喜んだ挙句に我が家に来て「天変地異が起るのではないか」とまで言い放った
とか。
他の仲間達は
「なんか勉強の仕方が解った気がする」と本人達は口にしたが「油断は禁物、
山はこれから、上り坂傾斜はきつくなると覚悟した方がいい」と言う人いて
緩んでいた心が一度に引き締まり緊張感へと変わった。
学校の配慮によって高校進学の為の自習空間は、月~金曜日の放課後
行われ、それは希望校への成績が(ややゆとりある人がAクラス)と
(かなり危ない人がBクラス)の二クラスに分けられて、学校内では特に広い
隣り合った教室を使う事ができたし、他の自習希望者達は静かにする事が条件で
入室も叶えられた。私も時々仲間入りして問題を解き、答え合わせをしあった。
アイツや郁や他の人たちから提供して貰った数冊の問題集の中から、基本を重視
しながら少し難しい問題を皆で解いた。そして仲間同志苦手な分野を指摘し合い、
そうした問題を極力自主時間内友達の側で解き、答え合わせをし合ったのである。
私は授業中に書いた以前のノートを提供すれば、それを書き写す人もいて
毎日する事が沢山あり無駄口を叩く人はいなかった。放課後の自習時間は学校から
1時間半と決められていたので、時間が来れば皆スムーズに片付けて退出したが、
それから女子たちは、校門を出て別れの手を振るまでお喋りが止まらなかった。
月日は光陰矢のごとし、物悲しい秋、凍える冬をそれまでは、詩を読んだり
「寒い寒い」と言いながら過ごした季節を、淋しさも寒さも味合う事なく
時は、彼らの場所から事もなげに過ぎた。自習教室は二月迄続けられ三月に
閉じた。三月の初旬卒業式を間近に控えた放課後、皆して頑張り此処までたどり
着いたが
「もう暫くすれば皆とお別れ」に気がついてしまったのです。校舎の窓から
太陽を浴びてキラキラ光っているグランド端の芝生が見えた途端、皆で其処へと
向かったのです。そこへ着くなり腰を下ろしお喋りを始めた「私達これからどう
なるのかな」「なる様になるよ」「そうじゃなくって、皆で今まで仲良く助け合って
来たでしょう。これから先いつまでこうして仲良くいられるのかな?って
思ったりしないかな?」・・・・!「今、そんな事考える時期じゃございません。
後、数日で、私達全員の将来を賭けた勝負が始まります。そんなおセンチに嵌って
いたら勝負にコテンパーにやっつけられてしまうよ。」皆思い切り頷いた。
そうしていると校舎の方から一人の中年男性が必死に駆け寄って来るではないか、
何かと思えば「みんな~」と大声を出しながら「こんな大事な時期に何をして
いるんだ」と、それは三年のクラス担任で科学の教科担任の甲斐先生だった。
「早く帰りなさい」と叱られてしまった。こんな風に感情に浸ることさえ許され
ない時期を共有した友達との関係が崩れのは、それはそれで不安であったが、
若さとはなんて素晴らしいものなのでしょうか?
それは又近い日に彼らの精神成長を報告出来る筈です。
アイツと郁)
土・日曜我が家で行われた、希望者による学習会は年を越しても続いていたが
同様に、アイツと郁達も数人の気の合う仲間と学習会が郁の自宅で行われていた。
勿論その仲間達は優等生揃いでしたから、勉強内容も私達が基本重視なら
彼ら達はそれよりも難しい応用問題重視の筈でハードな学習会なんだろうな~と
想像をした。
アイツは、教室で時々たわいのない話しをしてくるが、気分的には少し距離を
置いていた。郁とは何時もと変わりなく心置きなく色々と相談すれば、
彼女らしい冷静で適格な答えを返してくれた。
新しい年を迎えて間も無い日、郁は「まさる!つかさに勉強させたかったら、
もっと親身になって話しを聞いて上げないと」と言われたが、
現状ではその余裕すら失っていた。
アイツ16 お・わ・り そして つづく
子峰院 和珞の創作小説でした。
つたない創作に、今回もお付き合い頂きまして「有難うございました。」