創作小説 < アイツ・18 >

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https://sihoin-waraku.hateblo.jp/entry/2023/02/04/105215

 

高校生活、始めの一歩 )

まさるが通学する県立商業高校は、大橋を渡り直進右折小さな橋を

渡って山へ少し登った中腹にあって校舎はまだ新かった。自転車では

45分程かかり登校にはゆとりを持って一時間以上前に家を出発した。

母校である中学校の恩師伊藤校長先生から、暫くは週三回先生の

自宅に通い書道を教えてくれると申し出があり、お言葉に従い続け

る事を決めた。高校では書道部からの誘いを丁寧に断わり、帰宅部

又決め込んだのであった。商業科は専門科目が多く週の内2日程

は7時間授業があり、舟木一夫の「学園広場」の曲が学校中に鳴り

響き、曲に見送られるようにして毎日学校を後にしたのであった。

そして自転車を漕ぎながら、聞えなくなった「学園広場」を口ずさみながら

家路へと、大橋手前の坂道の下にある交差点を右の道から

渡り終えた場所で帰宅途中のアイツが時々待っていてくれた。

アイツは 大学受験の為の補習授業がまだ始まってないので授業の

終了時間はまさるよりはるかに早く帰れる筈が、教室で本を読んだり

して時間を潰し見計らって学校を後にするのだと話してくれた。

「大事な時間なんだから待たなくても良いよ」と言えば「これも

大事な時間」と返事をくれた。大橋を渡る間中自転車に乗ったまま

、たまに自転車を二人して押しながら学校や友達そして教科について

話は尽きなかった。橋を渡るとアイツは右へ、まさるは左へと手を

軽く振って別れた。郁は「身体を動かさないと」とテニス部に入部

アイツや郁の通う県立普通科高校よりまさるの学校は遠く、

早く登校するまさるは、郁と登校・下校時に出会う事が全く無かったが、

半島の桂子が我が家に来る日は必ず顔を出してくれて頻繁に会う事が出来た。

 

そして中学校の頃受験準備で苦労?を共にした中間達は)

出身校の違う友達やクラブ中間達の付き合いが忙しらしく廊下ですれ違えば

「ヤッ!」と挨拶変わりに手を上げて何も話をする事もなく別れた。

それでも何か通じる物があってすれ違うだけでその日は良い気分でいられたのは

不思議だった。山奥僻地の美枝はまさるの家族や近所の人達が使うローカル駅

傍にある兄夫婦の家に下宿をしてまさると同じ高校へ通っているが、

兄の家はまさるの家とは自転車で五分程の距離にあって会おうと思えば

いつでも会えたし登校下校時に遇っても不思議ではなかったが、中学校では

園芸部で帰宅部に程近かったが高校では卓球部に入部、早朝練習にも熱心

に参加して全く会えなかったし、お互いの行き来もなくなっていった。

クラスも違い 1学年が10クラスもありお互いの教室は2階の

端と端で途中に階段が二ヵ所あってすれ違う事も殆んど無かったが

ある日の放課後 下校の玄関でクラブに行く美枝にバッタリ会って

お互い「元気?」「元気よ」と日焼けした顔で微笑み返してくれた。

あの仲間達は皆楽しい高校生活を送っているのかと思うと途轍も

無く嬉しかった。

 

珠算)

クラスには、珠算二級珠算を持って近所の子供達に珠算を教えながら自身も

上級を目差している安部さんという女子がいて、まさるは彼女の真似をして

珠算を頑張って近所の子供達に教えようかと思ったが、三級を取り終えて、

さて二級の練習を続けていると、除算(割り算)が苦手で自分には不向きな事に

気が付き卒業資格である三級を取った時点で

             珠算の勉強はきっぱり止める事にした。

 

アルバイト)

 1年の7月の最初の期末試験を終えると祖母から「生協さんがな、学校が

休みに入ったら、お盆まで手伝って欲しいっと言ってたけん。普通はお盆の

10日前位にアルバイトには頼むらしいけど まさるには直ぐに入って貰いたい

とゆうとるよ、はように返事欲しいらしかったけんど」と言われて、終業式終る

と直ぐに生協にアルバイトに出た。8月は13日から休みになる為12日の

就業後にバイト代の全額が支払われた20日以上だったから相等の

金額であった。そのお金で帰宅途中にお仏壇のお供えと家族や燐家

にお土産を買い、残りは母親に全額渡すつもりであったが、母親は

「一応預かっておきますが、要りようの時は言ってな」と少しの

お金を手渡されて言われたが、お金は受け取ったもののその

つもりは無かった。

お盆から一週間程は家族や半島の桂子の家族と過ごした。

 

書道)

習う為に伊藤先生の家に行くと、「バイト代は沢山貰えましたか」と尋ねられて

「はい、頂きました」と「そのお金をですね、大変申し訳ないのですが使って

頂きたい事がありまして」「?」「いえね」と始まった話が、

中学生の頃 毎月の競書誌にはまさるの作品は 伊藤先生(校長)の計らいによって

一般・高校生の部に提出を続けた結果6月に提出した作品で準師範に

該当する段に達した為、師範の免除を望む人は手続きによって得られると、

その為には幾許かのお金が必要との事を話してくれた。

「有難うございます。それ位の金額でしたら大丈夫です。お支払いできます。

よろしくお願いします。」と言えば「お金の事は、本当は良いですよ。

頑張ってくれたお礼に私からのプレゼントにしたい位ですけど 

それでは君の気がすまないだろうと思いましてね。丁度バイトをすると言って

いましたからシメシメと思っていました。」と笑った。

帰宅して母親に話せば「まささん偉いね。お金はバイト代でも

お釣りが出る位じゃね。」と、喜んでお金を渡してくれた。

 

 その日の夜をまさるは、これからはただの帰宅部では終らない

計画を練る為に、眠れぬ時間をたっぷりと過ごしたのであった。

           アイツ18 お・わ・り そして つづく

    子峰院・和珞の創作小説でした。

 

 ベストを編むつもりで買置きしていた毛糸を出して編み始めた

ところ、毛糸がどうも足りそうにありません。そこで違う色を所々

に入れて編み始めましたが「ゲゲゲの鬼太郎はんのベスト」の様になって

しまいました。この様な時は毛糸をごっそり買うくらいの

太っ腹でなくては駄目でケチはアカンな~と思います。私の様に

ケチは駄目ですが、他の色を入れへんてこと思いましたら

知人に「今時はそれが流行りよ」と言われました。

ホームウエアーにしようと思っていましたが、思い直して買い物

ぐらいには着て出てみようかな、とか思っていますが、後ろから

指差すのは「流行よ」とか言っていた彼女ではありませんか?

後ろ指の話は夢ですが、思案はしています。

お気楽な「和珞」ございます。ど~も失礼いたしました。

散歩中、梅の良い香りがしてまいりましたが、まだまだ寒くございます

どうかご自愛下さいますように は~るよ来い!